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篠原真毅教授

マイクロ波利用領域拡大のための取り組みとして
化学反応分野との技術融合について、お話を伺いました。

25年前(1990年)から宇宙太陽発電所SPSのためのマイクロ波送電の研究を開始したきっかけは?


~夢を現実に~

京都大学四回生の時(1990年)に、当時の京都大学超高層電波研究センター教授(その後京都大学総長)であった松本紘先生の宇宙太陽光発電への夢を聞いて、研究室入りを決断しました。

松本先生は、先生のご専門だった宇宙プラズマ物理学からつながりで、1980年代頃から宇宙太陽発電所SPSの研究を始められており、研究室紹介というイベントで、SPSを使って、人類を1万年も10万年も生き延びさせるという夢を私たち学生に語られ、それに感銘して研究を始めたというのがきっかけです。

夢物語を現実に変えていく、人類存続の為の壮大なプロジェクトに心惹かれて松本研究室を志願しました。

松本先生はもともとマイクロ波の分野がご専門ではなく、宇宙プラズマ物理学という理論計算的なことをご専門でやられておられましたので、マイクロ波工学の研究という意味では、私が研究所に配属になってからスタートしたということになりますね。

研究所に配属になってからまずは、松本先生が工学的なことをやりたいということで指令を受けました。それまでの松本研には実験機材はほとんど無かったため、はじめは、コネクタ1つ手配するのでも、一学生の自分が電話帳から購入先を探して、バイクで走って店に行き、大学なので後日銀行振り込みで購入できないかと交渉をするいう、何とも無謀なことをしていました。技術を学ぶために、神戸大学などにも修行に行きました。今となっては、お恥ずかしいお話ですが、なんとも懐かしい時代です。

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SPS実用化には様々な分野の技術力を結集する必要があり、そのあたりで大変ご尽力されていると思いますが、いろいろな苦労もあるのでは?


~壁を取り払うという課題~

SPSは今もまだ核融合やリニアモーターカーの様な大きなプロジェクトになっていなくて、比べると予算も少額です。研究室配属当初はマイクロ波(無線)で電気送るという技術も一般化してないために、どの学会と連携すればよいか?すらはっきりしませんでした。

今はマイクロ波送電は世界的にも国内でも学会としてしっかりとした位置づけがなされるようになっています。

マイクロ波送電は大分居場所ができましたが、SPSは宇宙開発が主になるのか?エネルギー開発が主なのか?今もはっきりしない部分があり、悩ましいところです。この辺りの苦労を未だに抱えていて、二十数年間という歳月が経ちました。今考えているのは、ワイヤレスで電気を送るという学問と産業の確立、その先にマイクロ波送電とSPSをつなぐとすれば、宇宙発電の実現は近くなると考えています。

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最近新聞で、ドローンを活用して空から地上のセンサーに給電する記事を拝見しました。
これはSPS技術の応用で災害時に大変有効な技術だと思います。少し最新の研究の現状をお聞かせください。


~ワイヤレス給電技術の応用~

ワイヤレスで電気を送るというSPSのためだった技術を、より身近なところで、できることから始めようという発想で研究を行なっています。SPSは大分先の技術なので今研究投資ができなくても、携帯の充電、車の充電・・・そういうユーザーをまとめ、ワイヤレス給電の技術を確立し、応用していけば、ワイヤレス給電には研究投資が期待できると考えました。そのうちの1つがドローンを用いたワイヤレス給電技術なのです。

2015年の7月には、京大宇治キャンパスの構内にある電波暗室での実験を行いました。

実験はドローン+ワイヤレス給電の有効性を見て頂くことでした。システムコンセプトはドローンの機動性を生かし、様々な場所に置いた電池レスセンサーから情報を集めようというものです。

現在、ドローンの研究開発をしている会社さんを筆頭にして福島県の公募研究資金を得て研究開発を行なっており、2016年には屋外での給電実験を実施する予定です。

この実験には、電波実験の免許が必要となります。現在はワイヤレス給電は電波法上に規定が無く、実験の際に免許を得て実験を実施するしかできないのです。

鶏卵になりますが、ワイヤレス給電という新しい産業を確立するためにも、ワイヤレス給電用の周波数を法的に認可してもらえないか、ということを現在考え、活動をしています。無線電力伝送実験はこれまでマイクロ波加熱でも用いられる2.45GHzや5.8GHzのISMバンド(産業科学医療用バンド)で実験免許を得て行なわれてきましたが、今後はRFID用途に用いられている920MHz帯の周波数を用いた実験も行いたいと考えています。さらに今後のワイヤレス給電の周波数利用の議論を世界的に広げたいと思っています。

マイクロ波化学では実験の際ISMバンドの2.45GHzを用いた電子レンジがよく利用されていますが、産業のためにJEMEA(日本電磁波エネルギー応用学会)でも900MHz帯を加熱で利用できないかを論議しているのと似たような考え方です。

加熱(化学反応)分野の研究に参加されたきっかけは?


~JEMEA入会への出会い~

大学が独立行政法人になった約12年前に、研究の融合的発展を目指して私のいた研究所と木材分野の研究所とが合併しました。宇宙の話から、森とか木材までをみて、シナジー効果を求めて新研究所は発足しました。木材研究の分野ではマイクロ波を当てて木を曲げるとかでマイクロ波を利用される先生がおられ、現在はマイクロ波を利用してバイオエタノールを作りたいという渡辺教授がおられます。

新研究所発足と時を同じくして渡辺教授をリーダーとしてNEDOのプロジェクトがスタートし、私たちもマイクロ波を利用したバイオエタノール生成のプロジェクトに参加したのです。新しい研究所が生まれたおかげで、マイクロ波化学の研究が始められた訳です。その頃、佐藤先生(中部大学教授)、吉川先生(東北大学准教授)が研究所に来られて、SPSで発生するギガワットのマイクロ波をマイクロ波製鉄に使えないか、という話をしつつ、JEMEAへのお誘いを受けて入会するようになったことがきっかけになります。縁あってということですね。

同じマイクロ波でも工学と化学分野での取り扱い方は、どのような違いがありますか?


~領域拡大の為の化学分野との橋渡し~

電波の反射波により発生する定在波によって電場がゼロになる点が出来ることは電波工学の授業でも扱いますが、マイクロ波工学の方はこれを積極的に利用することはあまりありませんし、電場と磁場を分けて考えることはしません。というか電波は電磁波なので電場と磁場は分けられませんね。電磁気学の範疇のkHzとかではコイルの電流が磁場を作る、とかはありますが、電磁波ではないですね。しかし、マイクロ波化学分野で、例えばマイクロ波製鉄プロセスは、マイクロ波の磁場によって効率的に製鉄が進む、とされています。定在波によって発生する電場がゼロになる点、逆に磁場が最大となる点を利用しているんですね。

更に個人的に衝撃的だったのは、Cole-Cole Plotのインピーダンスチャートで円を書かせるのにjωのn乗で +j(+90°)から-j(-90°)まですべてをフィッティングすることです。マイクロ波工学では、というか電気一般では電気回路や等価回路はR(実数), jωL(+90°), 1/jωC(-90°)の大小の組み合わせですべてのインピーダンスを表現するので、jωをn乗するという考えはまるで出てきません。マイクロ波工学とマイクロ波化学の考え方の違いに大きな衝撃を受けました。(笑)

私としては、JEMEAでの研究領域を広げたくて、マイクロ波工学分野の方向けにマイクロ波化学と工学の「翻訳」と称する講演を何度か実施しました。

マイクロ波化学分野とマイクロ波工学分野を整理することで、見えてくる部分も多く、両分野での橋渡し役をいつしか務めさせて頂いております。

マイクロ波がご専門の視点から、今後の加熱分野でのマイクロ波利用・応用の課題と可能性をお聞かせください。


~新しい学問の創出~

マイクロ波化学の研究者側から見るとマイクロ波とは「チン」すると温まる装置(電子レンジ同等)だという認識しか持っていないと思います。

周波数依存性、電波の質、電磁界のモードなどはあまり気にしていないように見えます。

例えば、周波数可変、パルスや変調など、そこまで含めて可変できる装置を作って、マイクロ波の質と化学反応の話をすることができればいいなと思います。

マイクロ波通信で用いられている高性能な半導体増幅器や、うちで研究している高品質マイクロ波を発生するマグネトロン等をマイクロ波化学研究に持ってくることで、新しいイノベーションが生まれるのではないかと思います。

宇宙太陽発電のマイクロ波利用

篠原 真毅 (しのはら なおき)
京都大学 生存圏研究所 生存圏電波応用分野教授
・電子情報通信学会無線電力伝送研究専門委員会 委員長 (2014~2015)
・日本電磁波エネルギー応用学会 副理事 (2015~ )
・(財)J-Spacesystems 無線送受電高効率化技術委員会 委員長 (2009~ )
 1987年千葉県立千葉東高等学校 卒業
 1991年京都大学 卒業
 1996年京都大学大学院博士課程 修了
 1996年京都大学 助手
 2001年京都大学 助教授
 2010年京都大学 教授
http://space.rish.kyoto-u.ac.jp/shinohara-lab/index.php (研究室HP)
主な研究テーマ ・宇宙太陽発電所SPSの研究
・地上マイクロ波電力伝送応用に関する研究
・大電力マイクロ波を用いた新材料創生研究
主な著書 ・Wireless Power Transfer via Radiowaves (Wave Series)
    [ISTE Ltd. and John Wiley & Sons, Inc., Great Britain and United States,
    2014.1]
・宇宙太陽発電 (知識の森シリーズ) [オーム社, 2012.7]
・マイクロ波化学 –反応、プロセスと工学応用– [三共出版, 2013.12]
・エネルギーハーベスティング –身の周りの微小エネルギーから電気を創る“環境
   発電” - [日刊工業新聞社, 2014.10]
・電界磁界結合型ワイヤレス給電技術 - 電磁誘導・共鳴送電の理論と応用 - [科学
   情報出版, 2014.12]
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