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滝澤博胤教授

日本電磁波エネルギー応用学会の理事長でもある、東北大学 滝澤博胤教授。
極限環境下(超高圧、電磁波など)における無機材料合成について、お話を伺いました。

超高圧環境下における無機材料合成の研究からスタートしたとお聞きしておりますが、研究することになったきっかけ等について教えてください。


私がセラミックスの研究を始めたのが学部4年生の頃でした。(1980年代)。当時セラミックス合成の分野では、電子材料などで使用されるファインセラミックスが注目された時代で、私も新たな機能を持つ材料の研究をしておりました。作り方としては窯業と同じ。「粉を混ぜて、固めて焼く」といった伝統的な作り方でした。

そのような作り方では、基本的に『温度と組成』という2つのパラメータ決めたら、できるものは決まってくるわけで、もう新しい物質、新しい材料は出てこないと言われていた時代ですよ。なので、あの頃はみんな2つの混ぜ物よりも、3つ、4つと組み合わせていくことにより、色々な物質を作る探索が広がっていました。しかし、元素の数は決まっているため、その組み合わせにも限りがあります。

そこで、「圧力(超高圧)」という新たなパラメータを加えることで、新物質探索・材料合成の選択肢が広がるだろうと考え、大学院からは高圧合成の研究を進めてきました。

超高圧という言葉に余り馴染みが無いのですが…


言葉は確かにそうかもしれませんね。実はずっと昔から地球の内部で起きていた現象なのですよ。

地球を構成している石ころ(造岩鉱物)は、全て地球の内部の高温高圧の環境下で作られたものだったり、地球の内部から表面に出てきたものだったりするのです。地球を35kmぐらい掘れば、そこは1万気圧程度もある超高圧環境場なのです。

すなわち、地球はそれ自体高温高圧の圧力容器なのです。

昔から人間は地表に転がっている石を材料にして生活をしてきました。
材料の歴史は、まずは天然物を利用する。そして次は天然物を模倣して人工的に物を作る。
これが材料合成の進歩だったのです。

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プロフィールでは、滝澤先生は学生の頃から現在までずっと東北大学でご研究されていらっしゃるようですが、学生の頃から始めた超高圧環境場でのご研究からマイクロ波環境場へと変わっていったきっかけや背景などについて教えていただけませんか?


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マイクロ波を始めるきっかけは偶然で、アメリカでの出会いなのです。

超高圧環境場での研究を始めて10年ほど経った頃、当時、高圧合成の研究が盛んだったテキサス大学に 大変興味を持っていました。

ちょうど10年目という節目でもあったので、また一つ新たな研究(パラメータ)を見つけたいと考えていました。当時、文部省(現文科省)が募集していた海外派遣の制度(在外研究員制度)があったのを見つけ応募したところ、念願のテキサス大学に留学し研究することができました。

ある時、電気工学の先生の研究室へ訪問することになり、巨大な電子レンジによる木材の乾燥を見ました。これがマイクロ波との出会いでした。

そこでは、木材だけでなくセラミックスやプラスチックなどの加熱特性(マイクロ波吸収性)も調べられていました。それを見ると、材料によって温まるものと温まらないものがあること、いくつかのセラミックス原料はかなり高温まで発熱すること等、色んな結果が出てましたので、固体間反応にも応用できるだろうと。
その時に『次のパラメータはこれだっ!!』て思いましたね。

つまり、従来は粉を混ぜて炉に入れて反応させていたけれど、逆に電子レンジの中で高温に発熱する成分があれば、その熱を駆動力に反応を起こすことが出来るだろうと考えてたわけですよ。

これが今の研究における非平衡反応場における反応なのです。

それにしても、テキサス時代のお写真。なんだか現地の人みたいな写真ですね!!


そうですかね^_^。余談ですがテキサスへ行く前にロスアラモスの研究所を訪ねたことがあります。そこは標高が2000m近くあるんですが、高地トレーニング効果??

そのおかげかどうか分かりませんが、その頃からお酒に強くなったような気がします…

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テキサス大学から帰国後、日本でもマイクロ波の研究はスタートできたのですか?


当時、ゴムの加硫などの製造装置はありましたが、マイクロ波実験装置や材料合成用途の装置は ありませんでした。やっと導入できたのが、28GHzのマイクロ波装置でした。

テキサス時代を思い出し、まずは、薬品庫にある試薬を片っ端から加熱してみました。
すると、いろんな加熱特性のデータを集めているうちに段々と加熱できるものとできないものの傾向がつかめてきましたね。

その後、研究が進みだしたのですが、ある日、28GHzの装置の故障がしてしまい、2.45GHzのマイクロ波装置を導入しました。その当時はまだ、電子レンジを改造したような箱型の装置しかなく、少量サンプルを高温に加熱することは苦労しました。しばらくして、電磁界を集中できるマイクロ波焼成炉を導入することができ、研究が加速しましたね。

(初めての導入された電子レンジを改造した装置というのが当社のマイクロ波実験機初号機の事ですね!!)

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マイクロ波環境下でのたくさんの成果の中の1つをお話して頂けませんか?


金属の窒化反応があります。当時の学生がチタン粉にマイクロ波を照射していたら「金ピカになる」との報告がありました。チタン粉が金ピカになるということは窒化反応が起きていることを意味しています。

しかも、その時はマイクロ波の炉内を窒素雰囲気下にしてなかったにも関わらず窒化されていたのです。
通常は空気存在下で加熱すると、チタン粉は酸化され青色になるはずなのですが、窒化が優先的に起きていたのです。

これは、つまり空気中の窒素を優先的にチタン粉と反応させることができる、すなわち、窒素ボンベが無くても、空気さえあれば窒化反応ができることを意味しているのです!!

膜厚や色調を制御したTiNコーティング
複雑な形状の基材にコーティング

今後のご研究やマイクロ波技術の発展について教えてください


学生時代から今日まで超高圧環境場やマイクロ波応用技術など未知の世界の環境下において機能性無機材料の創製を目指し、研究を進めてきました。

しかし、マイクロ波のプロセスにおいては、まだ解明できていないことが幾つかあり、それらについては、きちんと答えを見つけていかなければと考えています。

また、将来大事なのは、マイクロ波プロセスだからこそ実現できるような新しい材料創製技術を世に出すということ。

現在の産業でもマイクロ波を活用しているケースがたくさんありますが、産業技術として見たときに、マイクロ波を熱源の代替としてとらえたケースが大半を占めていると思われます。

将来マイクロ波応用技術が発展するには、マイクロ波を単なる熱源代替としてとらえるだけではなく、新しい反応場を生むツールとしてとらえていく必要を感じています。そのためには失敗を恐れず、チャレンジしていくことが大切なのです。(日本の研究には、失敗が許されるような風土作りも必要と感じています。)

滝澤博胤 (たきざわ ひろつぐ)
東北大学 工学研究科長・工学部長
未来科学技術共同研究センター長(日本電磁波エネルギー応用学会 理事長)
1981年秋田県立秋田高校 卒業
1990年東北大学大学院工学研究科博士課程 修了
1990年東北大学 助手
1995年東北大学 助教授
2004年東北大学 教授 (極限材料創製化学分野)
2015年東北大学 工学研究科長・工学部長
http://www.che.tohoku.ac.jp/~aim/index.html (研究室HP)
主な研究テーマ ・マイクロ波照射による機能無機材料の創製
・超高圧環境場を反応場とした新物質探索
・超音波による低コスト・低環境負荷ファブリケーションの構築
・低原子価複酸化物の合成と機能発現
・結晶化学を基盤とした無機材料の機能設計
主な著書 ・固体材料の科学 [東京化学同人,(2015)]
・マイクロ波化学[三共出版,(2013)]
・マイクロ波化学プロセス技術Ⅱ [シーエムシー出版,(2013)]
・マイクロ波の化学プロセスへの応用 [シーエムシー出版,(2011)]
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